名駅二丁目三番街|Table Republic株式会社 代表取締役・水谷義之さん
名古屋駅近くの「名駅二丁目三番街」で、飲食店を展開するTable Republic株式会社。
そば料理とお酒を楽しむ「ふあろ」や「立ち呑み 中茂」など、さまざまなスタイルの店舗を運営しています。
水谷義之さんが大切にしているのは、名古屋らしさを感じながら、毎日でも楽しめる料理を提供すること。
その味づくりでは、豆味噌の力強いうまみを生かしながら、白みそを組み合わせることで、甘みやまろやかさ、奥行きを加えています。
「味を足す」のではなく、「味をつなぐ」。
飲食店経営者として名古屋の食文化と向き合う水谷さんに、白みその役割と、これからの名古屋の味について伺いました。
名古屋らしさを、毎日の料理に。
名駅二丁目三番街では、「そば屋の料理でお酒を ふあろ」「立ち呑み 中茂」「名駅二丁目 STAND」「ナカモノウエ -NAGOYA Whisky Bottle Bar-」の4店舗を運営しています。
それぞれ異なるスタイルの店舗ですが、共通して大切にしているのは、名古屋らしさを感じてもらいながら、日常的に楽しめる料理を提供することです。
水谷さんは、名古屋の食文化を考えるうえで、豆味噌は欠かせない存在だと話します。
一方で、豆味噌の力強い味だけで料理を完成させるのではなく、白みそを合わせることで甘みや丸み、コクを加え、味全体のバランスを整えています。
店舗では、味噌だれや和え物、煮込み料理などに白みそを活用しています。
水谷さんが目指しているのは、味噌そのものを強く感じさせることではありません。
素材のおいしさを引き出した結果として、味噌のおいしさも感じてもらえることを大切にしています。

白みそは、味と味をつなぐ。
水谷さんは、料理の味づくりについて、現場の料理人たちと相談しながら取り組んでいます。
その中で白みそを使う理由のひとつが、豆味噌だけでは表現しにくい、やわらかさやまろやかさを加えられることです。
白みそには自然な甘みやコクがあります。しかし、水谷さんが注目しているのは、それだけではありません。
「味を足す」というより「味をつなぐ」こと
白みそは、塩味や酸味、だしのうまみ、豆味噌の力強さなど、異なる味をひとつにまとめる役割を果たしているといいます。
例えば、豆味噌だけでは味の輪郭が強くなりすぎる料理でも、白みそを加えることで角が取れ、口当たりがやわらかくなります。
水谷さんは、豆味噌を料理の「芯」、白みそをその周りを包む存在だと捉えています。
豆味噌の個性を消すのではなく、その力強いうまみやコクを残しながら、より幅広い人が食べやすい味に整える。最初の一口はやさしく、そのあとに豆味噌のコクが感じられるような味わいです。

一方、白みそを使わなければ、豆味噌の力強さがよりストレートに伝わる料理になります。どちらがよいということではなく、誰に、どのように食べてもらいたいのかによって使い分けることが大切だと考えています。
また、白みその配合も、すべての料理で同じではありません。素材や調理方法、季節、食べてもらうシーンによって、求められる味は変わります。
大切なのは、決まった配合から料理を考えるのではなく、完成させたい料理から逆算して調味料の組み合わせを決めること。
水谷さんは、白みそを加えること自体を目的にするのではなく、目指す味を実現するための選択肢として捉えています。

名古屋の味は、濃いだけじゃない。
名古屋の味というと、「濃い味」「味噌が強い味」というイメージを持たれることがあります。
しかし、水谷さんは、名古屋の食文化の魅力は単純な味の濃さではなく、地域に根付いたさまざまな調味料を上手に組み合わせることにあると考えています。
豆味噌の力強いうまみやコク、たまりや白醤油、だしが持つそれぞれの特徴。
こうした調味料を料理に合わせて使い分け、組み合わせることで、名古屋の味には多様な表情が生まれます。
豆味噌と合わせる白みそについても、ただ甘ければよいわけではありません。大切なのは、豆味噌の香りやうまみを邪魔しない、自然な甘みとコクがあること。
白みそだけが前に出るのではなく、ほかの素材やだし、調味料とうまくなじむことで、料理全体のおいしさを支えます。
水谷さんは、白みそを、名古屋の味の可能性をさらに広げてくれる調味料のひとつだと捉えています。

いつもの料理に、少し白みそを。
白みそは、家庭でも気軽に取り入れられる調味料です。
水谷さんがおすすめするのは、普段使っている味噌に、少しだけ白みそを加えてみること。
例えば、いつもの味噌汁に白みそを合わせるだけでも、味わいがやわらかくなります。

味噌だれや野菜の和え物、肉や魚の味噌漬け、鍋料理などにも活用できます。また、ドレッシングに加えたり、マヨネーズと合わせてディップにしたりと、使い方はさまざまです。
大切なのは、白みそを使うために特別な料理を考えるのではなく、いつもの料理の中で、その甘みやコクを生かしてみること。
水谷さんは、普段の料理に少し加えるところから始めてみるのがよいのではないかと話します。

調味料の役割を知ることから。
料理を学ぶ人たちに、水谷さんが伝えたいのは、調味料を単独で覚えるのではなく、組み合わせによって味がどう変化するのかを考えてほしいということです。
白みそには白みその役割があり、豆味噌には豆味噌の役割があります。醤油や白醤油、酢、砂糖、塩、だしにも、それぞれ異なる特徴があります。
大切なのは、決められた分量を覚えることだけではありません。
なぜ、その料理に白みそを加えるのか。加えることで、味はどのように変わるのか。
一つひとつの調味料が果たす役割を理解することで、料理に合わせた使い方や組み合わせを考えられるようになります。
料理は、一つの調味料だけで完成するものではありません。素材と調味料、そして調味料同士の関係を知ることが、おいしい料理をつくるための大切な学びになると、水谷さんは考えています。
味と味、人と食文化をつなぐ。
水谷さんにとって、白みそは単に料理の味を整えるための調味料ではありません。
豆味噌のような力強い味と、素材が持つ繊細な味をつなぐもの。そして、昔から受け継がれてきた料理と、今のお客様が求める味をつなぐものでもあります。
飲食店経営者として、長く食に関わってきた水谷さんは、白みそについて、こんな言葉で表現しています。
「味と味、人と食文化をつなぐ調味料」
名古屋には、豆味噌やたまり、白醤油、白みそなど、地域に根付いた多彩な発酵調味料があります。
水谷さんは、こうした調味料を単に「昔からあるもの」として残すのではなく、今の料理人たちが新しい使い方を考えることで、次の世代へつないでいけると考えています。
そして、飲食店もまた、地域の食文化をお客様へ伝える場所でありたいと話します。
一皿の料理を通じて、地域の味を知り、そのおいしさに親しんでもらうこと。
白みそが料理の中で異なる味をつなぐように、飲食店もまた、名古屋の食文化と人をつなぐ存在なのかもしれません。
PROFILE / 取材先紹介
名駅二丁目三番街
Table Republic株式会社
名古屋駅近くの「名駅二丁目三番街」で、飲食店を展開。
「そば屋の料理でお酒を ふあろ」「立ち呑み 中茂」「名駅二丁目 STAND」「ナカモノウエ -NAGOYA Whisky Bottle Bar-」の4店舗を運営しています。
名古屋らしさを感じながら、毎日でも楽しめる料理を大切にし、豆味噌や白みそなど地域の調味料を生かした味づくりに取り組んでいます。
取材協力:Table Republic株式会社 代表取締役 水谷義之さん

