白みそは、名脇役。料理人が追い求める味。|讃岐うどん 十四明

讃岐うどん 十四明(とよあけ)|加納雄二さん

愛知県産の小麦「きぬあかり」を使い、素材の産地や生産者にまでこだわる「讃岐うどん 十四明」。

味噌煮込みうどんには、豆味噌とナカモの白みそを合わせています。豆味噌の力強い味わいを生かしながら、白みその自然な甘みでまろやかさを加えるためです。

また、かけうどんには白醤油を使用。調味料を一つひとつ味わい、納得したものを選ぶ姿勢が、一杯のうどんに表れています。

一口目だけでなく、食べ終わったときにも「おいしかった」と感じてもらえる味とは。

料理のおいしさを追求する加納雄二さんに、白みその役割と、味づくりへの思いを伺いました。

愛知県産の素材でつくる一杯

讃岐うどん 十四明が大切にしているのは、地元・愛知県産の素材を使った料理づくりです。

うどんに使う小麦は、愛知県産の「きぬあかり」。仕入れる農家まで限定し、素材を厳選しています。味噌も愛知県産のものを選び、地域の食材を生かした味づくりに取り組んでいます。

そんな十四明の味噌煮込みうどんには、豆味噌とナカモの白みそが使われています。

豆味噌だけでもおいしい味噌煮込みをつくることはできますが、加納さんは、豆味噌だけでは味が強くなりすぎると感じていました。

そこで白みそを合わせてみたところ、味わいがまろやかになったといいます。

豆味噌のおいしさを引き立てる、白みその甘み

加納さんが白みそを使う理由は、単に豆味噌の味をまろやかにするためだけではありません。

白みそそのものが持つ、自然な甘みを生かすことも大切にしています。

そのため、十四明の味噌煮込みうどんでは、甘さを加えるためのみりんや甘味料を使っていません。

豆味噌のしっかりとしたうまみに、白みそのやさしい甘みを重ねることで、豆味噌の個性を生かしながら、料理全体の味を整えています。

加納さんが豆味噌と合わせる白みそに求めるのは、豆味噌の持ち味を邪魔せず、やさしい甘みで支えてくれること。

白みそが前に出るのではなく、豆味噌のおいしさを引き立てる。そんな組み合わせを大切にしています。

一口目から、食べ終わるまで。

加納さんが料理づくりで大切にしているのは、最初の一口のおいしさだけではありません。

食べ進めてもおいしく、食べ終わったときに「ああ、おいしかった」と感じてもらえること。そのために、味の強さだけに頼らず、料理全体のバランスを考えています。

また、化学調味料を使わないことも、加納さんのこだわりのひとつです。食後に喉が渇いたり、料理が冷めたときに味わいが落ちたりすることを避けたいという思いから、調味料の選び方や使い方を工夫しています。

味噌煮込みうどんに白みそを合わせることも、そうした味づくりの一環です。豆味噌の力強いうまみを生かしながら、最後まで心地よく食べられる味を目指しています。

一口目のおいしさだけでなく、食べ終わったときに「ああ、おいしかった」と思ってもらえる味を大切にしています。

最後の一口までおいしく食べてもらうことを大切にする、加納さんの味づくり。

白みその使い方は、味噌汁からスイーツまで。

白みそは、味噌煮込みうどんだけでなく、家庭のさまざまな料理にも取り入れられる調味料です。

加納さんがおすすめするのは、いつもの味噌汁に白みそを加え、自分の好みに合わせて味を調整すること。白みその自然な甘みを生かした、中華の炒め物の味付けにも合うといいます。

また、豆味噌と合わせるだけでなく、白みそを主役にした味噌煮込みうどんもおいしいそうです。

さらに、意外な使い方として教えてくれたのが、スイーツの隠し味。

豆味噌を引き立てる脇役としてだけでなく、白みそそのものの味わいを楽しむこともできる。加納さんの提案からは、白みその使い方の幅広さが感じられます。

白醤油にも求める、自然な味わい

十四明では、味噌煮込みうどんだけでなく、かけうどんにも名古屋の発酵調味料を生かしています。

かけうどんには、すべて白醤油を使用。加納さんは白醤油についても、いくつもの商品を実際に食べ比べ、納得できるものを選んでいます。

その中で、名古屋の白醤油を選んだ理由は、小麦の香りのよさと、自然な味わいでした。

豆味噌と白みそを組み合わせる味噌煮込みうどんも、白醤油を使ったかけうどんも、目指しているのは素材や調味料それぞれの持ち味を生かしたおいしさ。

白みそにも白醤油にも、加納さんの調味料選びに共通する考え方が表れています。

試行錯誤の先にある、おいしさ

これから料理や栄養を学ぶ人たちに向けて、加納さんが伝えたいのは、まず調味料そのものの味を知ることの大切さです。

それぞれの調味料を単体で味わい、その特徴を理解してから組み合わせてみる。何度も試すことで、少しずつ自分の目指す味に近づいていくといいます。

大切なのは、「良くなった」ところで止めないことです。そこからさらに試していくと、時には失敗することもあります。しかし、その失敗を経験したからこそ、その次にできる味が一番良い状態になることもあります。

加納さんが料理をつくるときに大切にしているのは、最初に「どんな味にしたいのか」をイメージすること。

その味を実現するために、具材や調理方法、調理器具を選び、試行錯誤を重ねていきます。

例えば、鰹節は削ったものを仕入れるのではなく、節の状態で仕入れ、その日に自分で削って使っています。さらに、削り器の刃の状態によって鰹節の香りが変わることにも気づき、道具の手入れにも気を配っています。

だしをこすフィルターも、網目の粗さによって仕上がりが変わります。粗いものは油分などが通るためコクのある味わいに、細かいものはすっきりとした味わいになり、かけつゆなどに向いているそうです。

この違いについては、コーヒー店に自ら教えを求め、学んだといいます。

素材や調味料だけでなく、道具の状態や使い方にまで目を向ける。その一つひとつの探究心が、十四明のおいしさを支えています。

白みそは、名脇役。

豆味噌の力強い味わいを支え、自然な甘みとまろやかさを加える白みそ。

加納さんにとって白みそは、料理の主役を引き立てながら、味わい全体を整えてくれる調味料です。

白みそは、名脇役です。

豆味噌のおいしさを生かすために、白みそのやさしい甘みを重ねる。一つひとつの調味料の個性を知り、組み合わせを工夫することが、加納さんの味づくりにつながっています。

素材を選び、道具を整え、何度も試しながら、食べ終わったときまでおいしい一杯を追い求める。

十四明の味噌煮込みうどんには、そんな加納さんの料理への思いと、それを支える白みその魅力が詰まっています。

PROFILE / 取材先紹介

讃岐うどん 十四明(とよあけ)

愛知県産小麦「きぬあかり」をはじめ、地元の素材や生産者にこだわるうどん店。

味噌煮込みうどんには豆味噌とナカモの白みそを合わせ、かけうどんには白醤油を使用しています。

素材や調味料だけでなく、だしの取り方や調理器具にもこだわり、一杯のおいしさを追求しています。

取材協力:加納雄二さん